2019年06月19日

ケアって何だろう?

「ケアって何だろう?」と問われれば、「ケアとは何か問い続けること。」と答えるしかない。追い続けるから見えてくるものがある。少しずつ自分の心に変化が生じてくるのを感じることだろうと思う。感じなくなったら終わりだ。悩み、迷うことなくして成長はないでしょう。そんな思いで答えを探しているうちにいろいろなヒントが見つかるものだ。以下に引用したのは、桝野俊明氏の著書の中のエッセイである。「働くことについて」の章に大きなヒントを見つけた。内容は介護とは無関係だが、働くことについての本質においてはどんな仕事も同じだと思う。このエッセイの中の一行々々に「ケアとは何か?」の答えが隠されている。是非一読してもらいたい。どんなヒントがどこに、いくつ見つかるか探してみてはいかがだろう。一読では、ヒントが見えなければ繰り返し読んでみる、あるいは日を空けて読み返してみるのもいいでしょう。
                  ホワイ介護 総合施設長 北 正美

[ 自分だけの色を見つける ]
 私たちは何のために働いているのでしょうか。もちろん第一義は生きていくため、生活していくためです。つまりはお金を稼ぐために働いている。これは当たり前のことです。しかし、仕事をするとは、ただ単にお金を稼ぐためではありません。やはりそこには、充実感というものが求められます。自分の仕事が誰かの役に立っている。自分がやったことがまわりから評価される。その喜びこそが、人生の喜びへとつながるのです。
 多くの人たちが、会社などのいわゆる組織で働いています。○○会社○○部という与えられた場所で仕事をしています。そこで勘違いしているのは、同じ会社の同じ部署で仕事をしているのだから、みんなが同じ仕事をしているという考え方です。たしかに、大きな括りでいえば同じ仕事をしているのかもしれません。しかし中身をよく見ると、そこには個性というキラキラとしたものが宿っているのです。
 10人の同僚がいたとしても、10人がまったく同じ仕事の進め方をしているわけではありません。性格も特技も違うわけですから、仕事の進め方は10人十色です。どんなマニュアルがある職場においても、知らないうちに個性というものは現れてくるものです。たとえばファストフード店の店員さんをよく観察してください。どの店員さんもお客様に対する言葉はみな同じで、マニュアルどおりの言葉づかいをしています。ところが、その中でも自然とお客様が集まる人がいる。同じ買うのなら、あの店員さんの列に並ぼうと思わせる人がいる。同じ「ありがとうございました」という言葉をいってもその言葉に込められた思いが強い店員さんのところには、たくさんのお客様が引き寄せられるのです。同じ仕事をしているように見えても、実はそれぞれの個性というものは現れてくるものです。
 自分にはどのような個性があるのか。自分の得意とすることは何か。そして自分は何をしたいのか。まずはそれを見つけることです。仕事の中には苦手なこともあります。いくら努力をしても、まわりの人に適わないものもあるでしょう。しかし、そこでめげてはいけません。あの仕事は適わないけれど、この仕事なら負けない。そいうものを見つけ、スキルを磨く努力をすることです。すべての仕事に向かないという人などはいません。
 〈 中略 〉
 のんびとした話し方や接し方。それは見方を変えれば、欠点でもあります。なかには、彼女のことを「仕事が遅い」と指摘する人もいました。ところがその欠点が、みごとに長所となって現れたのです。自分にしかできない仕事。自分だけが出せる色。それを見つけたわけです。これこそがキャリアというものだと思います。
 今、キャリアに執着する人が増えてきました。いい大学を出たり、難しい資格を取得したり、あるいは企業の中で目立つ活躍をしたり……。そんなキャリアこそが大事だと考える人がたくさんいます。たしかにそれもキャリアの一つであることは間違いない。しかし、仕事をしていくうえでのキャリアとはそれだけではありません。自分の得意なこと、自分にしかできないこと、たとえ小さなことであっても、地道にそれを積み重ねていく。それもまた、立派なキャリアだと思うのです。
 また、キャリアとは仕事に限ったことではありません。たとえば子育ても、人生にとっては素晴らしいキャリアの一つです。自分のキャリアをもっと磨きたいから結婚はしない。子どもがいると今までの築いてきたキャリアが台無しになってしまう。そんなふうに躊躇する人もいると聞きます。キャリアという幻想に執着してるのでしょう。「人生のキャリア」を積み上げること。結局それが仕事に還元され、ひいては自らの人生を豊かにしていきます。そいうものだと思います。
 そしてもう一つ、これが自分の得意な仕事だと思ったら、がむしゃらに努力することです。がむしゃらに取り組む時期こそが、自分を成長させてくれるのです。
(桝野俊明著、人生をシンプルにする禅の言葉、大和書房、2015、p86~89)
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posted by 鈴鹿の北さん at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記